2009年11月13日金曜日

新日鐵室蘭製鉄所の見学にいってきたよ.

大学院の全体メールで,半月くらい前に新日鐵室蘭製鉄所の工場見学会の案内が流れてきた.「工場見学」という響きだけでもうわくわくして即,参加のメールを出した.

小学生時分,自動車のエンジンを作っている工場の見学に苫小牧に行ったのを覚えている.当時は,小学校のカリキュラムに組み込まれているからというだけの理由で見学しているので,特に興味もわかなかった.いや,小学生などという立場では,工場というものの価値について知りえないので,そのおもしろさを語るレベルにも満たないといっても良い.棒を振り回していればそれで楽しい.明日もこの棒を振りたいからあそこに隠しておこうぜ.こっちのつららの方が美味いぜ.小学生とはそういうものだ.その頃の見学といえば,引率の先生に言われるがままに,工場の従業員に対して,「こうじょうで はたらいていて たいへんなことは なんですか」と定型文を述べさせられるのもお決まりのコースの一つだ.

今回の見学では,製銑(鉄鉱石から鉄を取り出すこと)の工程と,棒鋼と呼ばれる鉄を棒状にしたものを作る工程を見た.単純に,真っ赤な銑鉄が流れ出る様子もさることながら,銑鉄が成形されて棒状になって出てくるところもまた迫力があった.工場内は人が少なく,ほとんどが自動化されていた.すべて管制室でコントロールしているのだとか.自動化の精度たるや,棒鋼にいたってはその径が±0.1%だというから驚く.管制室は,20台近くのモニタがあり,それぞれの工程をカメラで監視しているほか,高炉をモデル化した線画でリアルタイムに情報が表示されているようだった.高炉は止めると再起動に時間とコストがかかるという性質上,24時間稼動することを必要とするため,常時3人が監視しているという.管制室はエヴァのアレを想像するとちょうどよい.

「こうじょうで はたらいていて たいへんなことは なんですか」と聞くまでもなく,不況の煽りを受けていることを伝えられた.たしかに,100の棒鋼が一度作れそうなラインは,20程度しか稼動していないようにも見て取れる.ただ,この工場で出す製品の質の高さから輸送費が高くつくことがわかっていても,発注があるのだそうだ.

どんな鉄製品もこの過程を経てエンドユーザの手元に渡ることを考えると,感慨深いものがある.

4 件のコメント:

  1. 2回読み返しました。

    鉄鋼商社も視野に入れている身としては、
    鉄鋼そのものが気になりだしたところだったので。

    日本の基幹産業でありながら、
    厳しい状況であることが窺い知れます。

    素材、原料?に関わるビジネスは規模が大きく、
    世界の根幹を支えている気がしてゾクゾクしますね。

    返信削除
  2. >世界の根幹を支えている気がしてゾクゾクしますね。

    確かに.資材の調達はスケールが違うからね.中国の経済成長が著しいから,鉄鉱石はほとんどオーストラリアから入ってきたものらしい.中国は,よそへやるくらいなら内需に鉄鉱石をまわすよ.とおっちゃんが気さくに語ってた.

    業界は違えど有用な情報はあるはず.就職関連の情報共有しようぜ.

    返信削除
  3. >中国は,よそへやるくらいなら内需
    輸出してると思いきや輸入してるパターンですね。

    私も日記に面白い情報があれば書くように心がけます。

    返信削除
  4. >私も日記に面白い情報があれば書くように心がけます。

    たのしみにしてますよ.

    返信削除